コラム:東大周辺にある謎のカフェ – リアル東大生ライフ!(第3回)

東大生というと、テレビで見る華やかな学生を思い浮かべるかもしれませんが、大多数は地味な大学生活を送っています。そんな普通の東大生の生活について、当教室の卒業生、SH(工学部3年生、大石小学校出身)が不定期にレポートします。教室に通ってきている小学生、中学生にとって「大学」とはまだ遠い世界のことだと思いますが少しでも身近に感じてもらえると嬉しいです。(2022年5月ニュースレターからの掲載です。第1回「大学ってどんなところ?」はこちらから。第2回「東京大学の授業」はこちらから。


第3回:東大の周辺にある謎のカフェ?

ニュースレター愛読者の皆さん、お久しぶりです。およそ一年ぶりに記事の執筆を依頼されましたので、東京に暮らす大学生の視点から面白いと感じた物事を引き続き紹介していこうと思います。今回のトピックは大学周辺に多く存在する謎の無料カフェです。

大学生にもなると生活の自由度が高く、誘惑も多いため、自宅では勉強に集中できない人がほとんどです。それでも卒業するためには試験やレポートに向けて一定の勉強時間を確保する必要があるため、カフェがよく利用されます。比較的静かな空間で人の目も感じられ、電源やネットワーク環境が整っているのが魅力で、図書館よりもアクセスや雰囲気が良いことも多いです。しかしここで問題となるのがその価格です。カフェを利用するためには店の商品を購入する必要があり、コーヒーを一杯だけ頼むとしても毎日通えば月に10,000円ほどの出費になってしまいます。これでは経済的困窮に苦しむ多くの学生が救われません。

そんなときに利用されるのが、大学の近辺に存在する「無料カフェ」です。ここでは学生なら無料でコーヒーやジュースを飲むことができ、ほかのカフェとほぼ同じ環境を得ることができます。実際東大の目の前には「知るカフェ」や「キャリアチケットカフェ」といった無料カフェがあり、作業や友人との交流を求めていつも多くの学生で賑わっています。

賃料や人件費、ドリンク代など出費もかさむ中で、このようなカフェはどうしてサービスを継続することができるのでしょう?その真相はカフェの目的にあります。これらの施設は実はただのカフェではなく、優秀な学生と交流して採用につなげたい企業をスポンサーとすることによって成り立っています。企業から年数百万円の協賛金を受け取る代わりに店内に資料や広告が掲示されたり、企業の広報や採用に関わるイベントが開催されたりしています。これによって学生と企業の双方にメリットのある仕組みが構築されていたのです。大規模な総合大学の付近には大概無料カフェがあるので、近辺に立ち寄った方は是非足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

今回は以上となります。連載は不定期となりますが次回の更新を楽しみにお待ちください。